著者:ゲンバ侍|建設業界人事歴12年・累計採用500名以上
「鳶職に興味があるけど、周りに『やめとけ』と言われた」
こういう相談、採用担当をやっていた時に何度も受けてきました。
結論から言います。「やめとけ」と言う人の9割は、鳶の仕事を実際に知らない人です。
ただし、向いていない人が無理に続けると本当にきつい仕事でもある。その境界線を、12年間採用に携わってきた立場から正直に話します。
「やめとけ」と言われる理由5つ【全部答えます】
理由①:高所作業で危険だから
これは事実です。鳶職は足場の組立て・解体・高所での作業が主な仕事なので、落下リスクは常にあります。
ただし。
現代の足場工事は安全基準が格段に上がっています。
2015年の労働安全衛生法改正以降、墜落防止のための手すり設置・安全帯の使用が義務化されました。まともな会社であれば、安全教育・装備・作業手順の徹底は当たり前です。
「危険だからやめとけ」ではなく、「安全管理がしっかりした会社を選ぶ」が正解です。
理由②:体がきつそうだから
確かに体を使う仕事です。ただ「きつい」かどうかは慣れと体の使い方次第。入社半年で身体が慣れて、1年後には体力的な辛さをほとんど感じなくなる人がほとんどです。
私が採用した500人以上のうち、「体力的にきつくて辞めた」という理由は全体の10〜15%程度。それより「職場の人間関係」「思っていた仕事と違った」の方が多い。
理由③:稼げないと思われているから
これは完全な誤解です。足場職人の平均年収は350〜500万円。職長クラスになれば年収600万円超えも珍しくありません。体を使う仕事の中ではトップクラスの水準です。
「建設業は稼げない」は昭和のイメージ。今は人手不足で単価が上がり続けています。
理由④:将来性がないと思われているから
これも誤解です。日本のインフラは老朽化が進んでいて、補修・改修工事の需要は今後30〜40年は確実にあります。足場工事はすべての建設・解体・補修工事に必要なので、AI・ロボットが普及しても最後まで残る職種の一つです。
理由⑤:学歴・キャリアが無駄になるから
「せっかく大学出たのに」という声も聞きます。でも手に職をつけて体が動く限り安定して稼げる仕事と、デスクワークで会社の業績に給与を左右される仕事、どちらがいいかは人によって違います。実際に大卒で鳶職を選ぶ人は増えています。
正直に言う:鳶職が向いていない人の特徴
「やめとけ」に根拠がないとは言いましたが、全員に向いているわけでもありません。
- 高所が本当に無理な人:慣れで克服できる人がほとんどですが、どうしても無理な人はいます
- 体を動かすこと自体が嫌いな人:「稼ぎがいいから」だけで入ると長続きしません
- チームワークが苦手な人:足場工事は必ずチームで動きます
- 言われたことを素直にやれない人:見習い期間は先輩の指示に従う期間が必須です
鳶職が向いている人の特徴
逆に、こういう人は鳶職で活躍しているケースが多いです。
- 体を動かすのが好きで、デスクワークが苦手
- 手に職をつけて長く稼ぎたい
- チームで仕事をするのが好き
- 成果が給与に反映される環境がいい
- 将来的に独立・自立したい
特に「独立したい」という人には、鳶職は非常に良いキャリアパスになります。
鳶職のリアルな「きつさ」【隠さず全部話します】
向いている人でも、きつい部分は当然あります。
早起きが必要: 現場の集合が7〜8時なので、5〜6時起きが標準になります。
天候に左右される: 雨・強風の日は現場が中止。日給月給制の場合、月3〜5日中止になると月収が5〜8万円落ちることがあります。
夏は暑く冬は寒い: 屋外作業なので季節の影響をダイレクトに受けます。特に夏の高所作業は過酷です。
最初の半年は給与が低い: 見習い期間の手取りは月15〜18万円ほど。ここを乗り越えれば給与は上がっていきます。
縦社会の文化: 先輩・職長への敬意、挨拶、礼儀がしっかりしていることが大前提です。
「きつい」を乗り越えた先にあるもの
500人以上を採用してきた中で、鳶職を続けた人が共通して言うことがあります。
「最初の1年が一番きつかった。でも続けてよかった。」
技術が身につき、日給が上がり、仲間との信頼関係ができていく。手に職をつけた職人は、景気が悪くなっても仕事がなくなりません。これは大きな安心感になります。
まとめ:「やめとけ」は無視していい。ただし会社選びは慎重に。
- 「やめとけ」と言う人の大半は鳶の仕事を知らない
- 危険・きついは事実だが、安全管理がしっかりした会社を選べばリスクは大幅に下がる
- 年収・将来性・独立可能性は十分ある
- 最初の1年は誰でもきつい。乗り越えた先に手に職の安定がある
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よくある質問
Q. 鳶職は何歳まで働けますか? A. 体力を使う現場作業は50代が区切りになる方が多いです。その後は施工管理・現場監督・営業へのキャリアチェンジが一般的です。
Q. 鳶職に向いているか事前に確認できますか? A. 一日体験や見学を受け付けている会社もあります。「現場見学はできますか?」と聞いてみてください。
Q. 鳶職と足場職人は違いますか? A. 鳶職の中に足場鳶(足場の組立て・解体)が含まれます。未経験から入るなら足場鳶が最もポピュラーです。
Q. 未経験から鳶職に就く場合、最初に何を覚えますか? A. 資材の運搬・整理・手元作業から始まります。安全教育・現場のルールを覚えながら技術を習得していく流れが一般的です。
著者プロフィール
ゲンバ侍
建設業界の人事担当として12年。足場・鳶・塗装・土木など複数職種で累計500名以上の採用に関わる。「採用する側が正直に書けば、ミスマッチは減る」という信念でこのブログを運営。現在も現役で建設会社に勤務。



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